電気のマイナス価格ってなんのこと?
以前より何度も訴求して来たことですが、2050年のカーボンニュートラルの達成、地球温暖化に抗する為の取り組みとしてJEPXという日本卸電力取引所における電気の最低価格が0.01円ではなく、欧米のように”マイナスの価格”を付けることで自然と”インセンティブ”が生まれ、電気が余る時間には蓄電池に貯めておいて電気が不足する時間に放電するという動機付けに繋がるものと考えています。
0.01円ならほんの少しだけど収入になりますが、マイナス価格になると大損に繋がるので流石にほっとけない事態になるのではないでしょうか?
簡単に言えば電気の価格がマイナスってことは、発電した電気をJEPXという市場で売ると利益を得るどころか逆に支払いが生じるというものです・・・(T_T)
これだけ見ると「いやいや、再エネを発電するにも設備費(モジュールやインバータ、架台、工事費など)や維持費(監視やメンテナンス費)などの費用が掛かるのに、なんで発電した電気を売ると逆にお金を支払わなければならないの!?」・・・っていう疑問になるかと思いますが、まさにここがインセンティブ効果で”貯めておいて”→”使う(放電する)”ことにより利益(利差)を追求する経済的な動機付けになるものと期待されているのです。
ん、イマイチ分かりませんよね?
電気はそのままだと貯めておくことが出来ないからよく言われる言葉で”同時同量”というものがあります。
これは発電して電力系統に流す電気の量と実際に使用する需要電力量がシーソーのようにちょうどバランスを取って釣り合わないと、均衡が崩れて大停電などに繋がるからなんです。
じゃあ電気を貯めるってどうすればいいんでしょうか?・・・
ハイ、まさに弊社お得意の蓄電システムの登場です(笑)
再エネ(ここでは日本の主たる再エネである太陽光発電と仮定します)は日射により発電したりしなかったり、言葉は悪いですが不安定な発電リソースですよね?
※それでも忘れないでください!日射という燃料は世界にみな等しく”無償”です!
その再エネの不安定さを蓄電システムが補って余りある働きをする訳です。
でも単に蓄電システムを増設するだけだとお金ばっかり掛かって大赤字になっちゃいますから、電気がたくさん余る(≒PVが日射を潤沢に受けて発電する)日中の”0.01円”や検討が進む”マイナス価格の電気”を格安で充電しておいて、日射がなくなり再エネからの発電が途絶える夕方以降の需給逼迫の時間帯に放電してあげることで大きな経済的メリットを享受出来るというものなんですが、経済的メリットを訴求しながらも実は電気の大原則である”同時同量”を実現する方向にバランスを取れるというとっても有意義な施策にもなっているんです。
日本(世界も基本同様ですが)の電力系統は化石燃料由来の発電や原子力による発電に頼って来たのでタービンがぐるぐる回る慣性力を持った動的な電力系統だったんですが、ここに再エネ由来のインバータという静的な電気を大量に流すと、従来の動的なものとコンフリクトを起こして(≒同期が不完全になり)再エネからの電気がある一定以上の割合になると系統が破綻して大停電を引き起こすと考えられています。
※再エネシェア30%とか50%がよく言われる分岐点たる数値です。
実は弊社で取り扱いのある系統用蓄電池の中には、この再エネ由来の静的な電力を従来ある系統の動的な電力に模して出力が可能な”グリッドフォーミング”機能を持った素敵なものも登場しています!
南オーストラリア州で実現した域内の85%を再エネがシェアするのに停電を起こさずに系統を維持出来ているのはこの”分散設置された系統用蓄電池”と”グリッドフォーミング”機能によるものだと解釈されています。
本当にこの事実は僕ら設計者にとっては夢のような出来事であり、再エネの未来を明るく照らすような凄いことなんです!
いつものようにかなり脱線しましたが(笑)、電気の価格がマイナスを付けるということは決して悪いことではなく、未来の理を実現する為には必要不可欠な分岐点でもあると考えています。
何かを求める時に必要なのは人にそうさせるだけの動機です。
本意でここのところの40℃や50℃にも達する酷暑や頻発する災害を懸念されるなら、こうした未来を変えていく為にも何某かの動機付けがなされ、みなで変えて行けたら素敵ですね。
0コメント